肌感覚
今年に入ってから改めて日本の建築を勉強し直しています。
たくさんの本を読みましたが、その中の一冊、吉田鉄郎著の「日本の建築」は1952年にドイツにおいてドイツ語で出版された日本建築を紹介する本でした。僕は日本語訳を読んでいるわけですが、その簡潔なわかりやすさと内容の充実に驚きます。(伊藤ていじ氏による註解も的確です。写真にある井上充夫著の日本建築の空間も素晴らしい本でした。)
日本建築を勉強する場合、僕は出来る限り古い本を読むようにしています。論理的な歴史観にもとづいた分析も大切ですが、昔の著者はまだ肌感覚で日本建築を理解していたことが文章の端々から感じ取れるからです。戦後、残念ながらその感覚のかなりの部分が日本人の中から抜け落ちてしまったように感じます。一方でヨーロッパの人々は現在も歴史の深い町並みの中で生活しているため、建築文化に対する感受性が現在もまだ息づいているのではないでしょうか。下の2枚は、東京の根津とロンドンのCandenTown近くの交差点です。大都市の中の立ち位置として同じような場所になります。