建築の写真
建築の写真を撮ることが好きです。
写真というひとつのフォーマットにおさまった建築にはまた新鮮な発見があり、いつも勉強になります。
つい見落とされがちですが、ある建築を実際に訪れ体験することと、その建築の写真を見て何かを感じ取ることとは、根本的に別種の作業です。(スマホの画面で見る建築写真などはなおさらです。)
例えるならば、建築写真はその建築を題材とした小説のようなものだと僕は考えています。
良い建築の写真には、必ず何かしらのメッセージが込められていますが、その行間の受け止め方はこちらの想像力次第です。
建築写真家の方々が撮影する建築写真には、その写真自体に感動があることは間違いありません。
それでもそれは被写体である建築が写真のメッセージに耐えうるデザインの強度を持っている事が大前提です。
投稿した建築は大阪にある日本基督教団南大阪教会。
この教会は村野藤吾の初めての建築です。
1928年、村野さんがまだ渡辺節の事務所で働いていた際に37歳で設計しました。
そして1981年、この教会の礼拝堂部分の改築にあたり、再び村野さんが設計を担当されました。
御年90歳。
実に半世紀以上の時を超えて自らの設計に手入れたということになります。
その事実だけでもウルっとくるには十分です。
建築と写真との関係については興味深いことがたくさんあり、いずれ文章にしたいと思います。
ちなみに建築のメディア戦略として初めて本格的に写真を利用したのはル・コルビュジエです。