味
春先に事務所の改装をしました。
写真は改装直前の様子です。
この場所はもともと中華料理店で、その後コインランドリーになり、次にとある建築家先生の事務所となり、僕の手に渡ってきました。
実は僕はこの事務所の一角をその先生から間借りしていたのですが、今年の頭にほぼ居抜きのような形で場所を受け継ぎました。
細い私道に面した平屋の建物。
築50年は経っているだろうボロボロヨレヨレの箱です。
ただ、これをボロいと言って拒絶するか、それとも味があると受けとめるかはひとそれぞれだと思います。
僕は後者です。
内装を丁寧に見ると歴代この建物を使われてきた方々の足跡がしっかりと残されているのがわかります。
例えば、この天井。
クロスはつぎはぎで、変な形の穴を開けたり埋めたりした跡があちこちにあります。
手前と奥で模様が違うのは、おそらく奥が中華料理店の厨房だったから。
コインランドリー時代の換気扇はそのまま残っていて、全く使いものにならない天井スピーカーが付いています。
もうボコボコです。
でもなんだかとてもいい感じだと思うんです。
積み重ねた時間と歴史がそのままあって。
もちろんこのままではただの古い箱なのですが、こういう内装は狙ってできるものではありません。
実は工事はずいぶん前に終わっています。
この場所の良い部分を活かしつつ、空間にさらに手を加えるというのはひとつの挑戦でした。
しかも恐ろしいほどの低予算で。
ただ毎日の業務に追われまだ竣工写真を撮影できていません。
ということで、この空間がどう変化したかは近々改めてアップしたいと思います。
そして建築だけでなく都市も同じような見方をするととても面白いです。
きっと人間だってそう。
それでは。