それほど小さくはない
横浜F邸の柱はオーストリアから。
「地球の反対側からよく来ましたね。」と、不思議な気持ちになります。
構造材には必ず性能保証のシールが貼られています。
木材の強度や製造場所などを確認できるようにするためです。
この柱は自然豊かなオーストリアで育ち、これから日本の都会ど真ん中のこの家を何十年も支えることになるわけで。
どこか切ない気もします。
流通システムが発展した現在、経済性や生産性のみを挙げれば、オーストリアの木材を日本で使うことは合理的なのかもしれません。
ただ直感的にはこれほど非合理な話も無い気がします。
どこか腑に落ちないというのが正直なところです。
これは建設業界に限った話ではありません。
私たちが、手にするもの、身にまとうもの、口にするもの。
これらが一体どこから来たのか、その足跡と影響をたどる知識と想像力を養うことが大切だと考えます。
世界はまだそれほど小さくなったわけではないと思います。