10年目の年

  Posted on Jan 7, 2024 in 建築考察, 季節のご挨拶
2024年の年賀状です

2024年が始まりました。

と、同時に昨年の反省をさせてください。

実は(も何もないですが)弊所ホームページをほぼ更新することなく2023年が過ぎ去っていきました。プロジェクトのアップデートもままならず、ブログ投稿は一度、しかもそれは勉強会のお知らせというありさま。ブログは毎度拙い文章ですが、楽しみにしている方もいらっしゃるとお聞きしているので心苦しく思っています。

新年のご挨拶代わりに近況報告をします。

おかげさまで沢山の設計のご依頼をいただいています。昨年もいくつかの竣工物件がありましたが、現在は、仙台でこどもクリニックの新築設計、京都で2軒目となる町家のリノベーション、その他にもいくつかのプロジェクトが進行中です。今月は埼玉県で新たな住宅設計も始まります。これまでは東京を中心に仕事をしてきましたが、振り返れば2023年はその範囲が一気に広がった年となりました。

今年は根津に事務所を構えて10年目の年です。(この表現が正しいのか若干不安ですが、来年の春で10周年です。)

大学受験の頃、英単語帳に載っている”Decade”という言葉の存在意義がわからないとずっと思っていました。昔、ブログに書きましたが、一つの単位とするのに10年はあまりに長すぎると感じていました。こんな無駄な単語を覚えなければならないことに苛立ちすら覚えていました。思春期のさなか、8歳から18歳までの自分自身の変化を考えれば当然の感覚だったと思います。そんな私も、気づけば大きな違和感もなく10年をひと括りとして捉えられるほどに歳を重ねました。

今年の目標はいくつかあります。

まず何よりも設計と真摯に向き合うこと。これは毎年変わりません。お施主様に対する責任を含め、設計に対する姿勢がブレないことは何よりも大切です。

次に、これまでの建築に対する思考を少しずつ言葉にして整理したいと考えています。学生時代からプロジェクトを重ねる毎に、建築に対する自分なりの視点を組み立ててきました。その試行錯誤の過程が現在の私の設計の基盤となっています。

“Discovered Dialogues”とは数年前にイーストロンドン大学の学生のために準備したレクチャーのタイトルでした。この言葉のニュアンスを日本語に訳すのは難しいのですが、つまりは、(既にそこにあるのに)いまだ気づかれていない関係性(の探求)、という意味です。私の建築に対する興味の中心であり、どのようなプロジェクトでも常に持ち続けている設計のテーマです。

今はあらゆる建築がスマートフォンの小さな画面の中のビジュアルに還元され、あっという間にスクロールされてしまう時代です。そんな時だからこそ改めて言葉による建築を表現したいと思います。

そして大きな声では言えない裏目標もあります。それは発信を続けること。(何年か前にも同じ目標を立てたのは忘れてください。)今年こそメディアに対する苦手意識を乗り越えたい。多少は。こちらに関しては既に弱気です。

おめでとうございますと言うにはあまりにも厳しい一年のスタートとなってしまいました。被災された方々へ心よりお見舞い申し上げますとともに、一日も早い復興と穏やかな日常が戻ってくることを願っています。

本年もどうぞよろしくお願いいたします。