台湾

  Posted on Aug 3, 2017 in 日々について

先週はAAスクール時代の親友の結婚式に出席するため4日間台湾を訪れました。

僕自身は5度目となる台湾です。伝統文化やしきたりを大切にしつつ、昔ながらの生活にしっかりと寄り添った近代化が素晴らしく、オリジナリティの溢れる国だと改めて感心しました。全てを刷新・均質化してしまう日本とは異なり、歴史の重みを随所に感じる成熟した街並みが形成されていて、人と人との距離もとても近く、独特の居心地の良さがあります。これは生活に密着した中で着実な発展を遂げてきたからこその充実であるように感じます。綺麗、新しい、快適という観点だけでは計れない豊かさについて考えさせられます。

建築においては手工業の持つ手作り感と、工業化製品の混在が面白く、見習うべき点も多くあるように思いました。それでも標準化をベースとした効率重視の波は確実に押し寄せているそうです。政治と建設業界の癒着も存在するようで、問題は多いと友人は話してくれました。

台湾独特の建築と言えば、例えば、高層ビルのデザイン。格の高い建築は石造りという認識が強いため、高層マンションでもてっぺんは石貼りです。残念ながらいい写真が無いのですが、中でもバロック調のものが最も高級だと考えられているそうです。その彫りの深さや装飾が作る陰影がとても印象的でした。
建築における装飾性は長らく議論されてきた問題ですが、僕自身は非常に大切な要素だと考えています。一方で日本のように極端に経済主義が進むと、建物を立てる際の延床面積確保が最重要項目となります。そして一度そのような価値観が確立してしまうと、装飾的な彫りの深いデザインはなかなか達成しにくいということは間違いありません。それだけに、デザインの個性を演出する土台がしっかりとあるということはとても大切なことだと考えます。余談ですが、ファサードの作り方において村野藤吾を超える日本の建築家は未だいないように感じます。

今回の旅では一日、日帰りで台中に行きました。I M ペイ/陳其寬 両氏設計の東海大学ルースメモリアルチャペル、伊東豊雄氏設計の台中国家歌劇院、安藤忠雄氏設計の亜州現代美術館を見学するためです。ルースメモリアルチャペルの整った美しさには大きな感銘を受けましたが、中でも、台中国家歌劇院は本当に素晴らしい建築だと感じました。人間がまだ洞窟に生活していた頃の根源的な空間の迫力を備えつつ、それとは正反対に位置する軽やかなポップカルチャーと先鋭的な商業性が見事に融合されていました。「古き良き」の文化土壌に、最先端が混在している台湾を象徴するかのような建築です。想像でしかありませんが、この建築は伊東氏が長年追い求めてきた建築形態のひとつの到達点である気がします。

収穫の多い旅でした。

Facebookのページにより多くの写真をアップしましたので是非ご覧ください。

ホテルから

台中国家歌劇院

lucechapel