雨漏り
今日はデザインについてではなく少し技術的なお話です。
雨漏りのご相談がありました。
築30年近くの木造2階建ての住宅です。
先週の台風の日に1階の天井から水が垂れてきたとのことでした。
現場を確認したところ、まず間違いなく直上にある2階バルコニー床のクラックからの漏水で、室内天井のシミ跡、基礎の濡れ方、外壁サイディングの劣化状況を見ると、かなり前から雨水が壁内に入り込み、壁の中をつたって外に流れ出ていたことがわかります。
表には見えずとも、おそらく何年も前から漏水していたのだろうと思われます。
漏水で一番怖いのは構造材への影響です。
湿気は木材を腐朽させるだけでなく、シロアリなどの害虫が繁殖しやすい環境をつくります。
カビやシロアリの被害を受けた柱梁などの構造材は本来必要とされる構造耐力を失ってしまうため、大地震による建物倒壊などの直接的な原因となります。
特に今回は、建物の角に漏水が見られましたが、この場所には通し柱という1階から2階までつながった構造上とても重要な柱が配置されている可能性があります。
万が一この通し柱がダメージを受けていた場合、たとえ漏水の対応をしたとしても通し柱が一度失った構造耐力を取り戻すことはありません。
つまり安全を確保するためには構造補強などの追加処置が必要となります。
そこでお客様にはバルコニーの防水処理だけでなく、漏水した部屋の石膏ボードを剥がし、構造材の状況を内部からも確認することをご提案しました。
バルコニーや屋上テラスの防水で大切なのは、やはり日々のこまめな点検です。(これはその他の部分についても言えますが。)
目視でかまいませんので、ひび割れや水たまりが無いか、排水がちゃんとできているかを時々確認してみてください。
そして10年〜15年ごとに専門業者によるしっかりとしたチェックをおすすめします。