空気感
2つの平面図。
AAスクール時代の最後のプロジェクトと、年始に引き渡した横浜F邸のもの。
社会に出て仕事を始めると、直接感性に訴える図面を描く機会が極端に少なくなります。
なぜなら実務図面は、大工さんが実際に建物を建てるための情報を伝える図面であり、アイディアプロジェクトの図面とは根本的に目的が異なるからです。
しかしながら有名建築家の図面を勉強すると、実務図面でありながら同時に感性に響く図面が多くあることに気付かされます。
例えばミース・ファン・デル・ローエやSANAAの図面などはその代表的なものだと思います。
実線や破線の織り混ぜ方、線の太さ、色、文字のフォントや大きさ、紙面上のレイアウト。
目指す空間の質感は、実はこういった図面の細部へのこだわりを通して伝わるものだと感じています。
逆に言えば、情報を詰めただけの図面からは、なかなかそれ以上のものが届かないということです。
いい建物の図面は単純にグラフィックとしても美しい。
だから、いつか僕もそんな空気感の伝わる図面を描けるようになれれば嬉しいです。