余白
来週より両親の家の工事が始まります。
家財道具を倉庫に移し、30年振りに家の中が空っぽになりました。
ガランとした部屋は、思っていたよりも広く、声がよく響きます。
今回のリノベーションはかなり大掛かりな工事となるため、ほとんど今の家の姿を残すことができません。
そのため現在の様子を写真と映像に記録する作業を進めています。
実は中身が無くなったことにより、この家と私たち家族が持っていた接点がより明確に見えてきた気がします。
そして日頃あまり意識を向けないものの大切さを改めて感じています。
ドアノブを握った感触や、電気スイッチの位置などは自然と体が覚えています。
畳のにおいや、雨戸を開ける音もそうです。
壁の傷には家族しかわからない物語があります。
当たり前かもしれませんが、そんな小さな断片の積み重ねが家を作るのだと思います。
少し乱暴に言ってしまえば、どんな箱でも家となります。
そこに人が住めば、生活の足跡が残り、思い出も宿ります。
ただ、将来、より素敵な家となりうる箱をデザインするのはとても複雑かつ大変な作業です。
時の試練に耐えるデザインという言葉をよく耳にしますが、逆に時の流れを楽しむデザインができればと思います。
そのためには余白を大切にすることが一つの鍵だと考えます。
それは伸びしろであり、受け皿でもあります。
大黒柱の無い我が家では、扉の端に兄弟の身長が刻まれました。
余白の持たせ方。
一つの大きなテーマです。
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